「スワップ取引って何?聞いたことはあるけど、、」
スワップ取引についてはこちらの記事で説明していますので、下記をご覧ください。
【デリバティブって何?】聞いたことはあるけど、馴染みのない言葉をわかりやすく解説します! – かず吉ブログ
この記事では、スワップ取引の会計処理について説明します。
この記事を読んでもらえたら、スワップ取引の会計処理について敬遠することは少なくなります。
ですので、最後まで読んでみてくださいね。
デリバティブの会計処理
スワップ取引(金利スワップ)
前提条件
〈A銀行との取引〉
X1年10月1日:当社はA銀行から借入期間3年で10,000千円を変動金利(TIBOR + 0.5%)で借入れた(支払金利は支払い日から6か月前の水準が適用され、利払いは3月末、9月末の年2回払いとします)
〈B銀行との取引〉
X1年10月1日:変動金利を固定金利に変換するため、金利スワップ契約を締結した。
その内容は下記の通りである。
- 想定元本:10,000千円
- 固定金利(当社がB銀行へ支払):3.5%
- 変動金利(B銀行が当社へ支払):TIBOR + 0.3%
- 利払い日:3月末、9月末の年2回払い
金利スワップの時価
- X2年3月31日:140千円
TIBORの金利推移
- X1年9月30日:3.3%
- X2年3月31日:3.5%
TIBOR(タイボー)とは、Tokyo InterBank Offered Rate の略であり、正式には全銀協TIBORと呼ばれています。東京市場の銀行間取引金利のことです。一般社団法人全国銀協TIBORにおいて、本邦無担保コール市場の実勢を反映した「日本円TIBOR」、本邦オフショア市場の実勢を反映した「ユーロ円TIBOR」を算出・公表を行っています。
全銀協TIBORとは | 全銀協TIBOR
取引概要図
上記の前提条件に記載している内容を図にまとめると下記の通りになります。
資金の借入と金利スワップをまとめると、当社は、10,000千円、固定金利3.7%(=3.5% + (TIBOR + 0.5%)- (TIBOR + 0.3%))の借入を行ったことになります。
当社は、変動金利で契約したものを固定化することができます。
X1年10月1日における仕訳
A銀行から借入を行った時の仕訳は次のようになります。
X2年3月31日における仕訳
利息の支払い日の仕訳は次のようになります。
〈A銀行との仕訳〉
A銀行に対して、利息を支払います。
10,000 ×(3.3% + 0.5%)× 6か月 ÷ 12か月 = 190
TIBORはX2年3年31日の6か月の前である、X1年9月30日のものを利用します。
金利は年利のため、半年(6か月)分に調整する必要があります。
〈B銀行との仕訳〉
B銀行との金利スワップにおいて、固定金利と変動金利の差額を処理します。
変動金利による受取額:10,000 × (3.3% + 0.3%) × 6か月 ÷ 12か月 = 180
固定金利による支払額:10,000 × 3.5% × 6か月 ÷ 12か月 = 175
以上から、差額は5千円(= 180 – 175)となります。
〈金利スワップの時価評価〉
金利スワップの時価評価します。
現金預金の減少金額は、185(=190 – 5)となり、185(=10,000 × 3.7% × 6か月 ÷ 12か月)と一致します。
X2年4月1日における仕訳
前期末で時価評価したものを洗替します。
X2年9月30日における仕訳
次の利息の支払い日の仕訳は次のようになります。
〈A銀行との仕訳〉
A銀行に対して、利息を支払います。
10,000 ×(3.5% + 0.5%)× 6か月 ÷ 12か月 = 200
〈B銀行との仕訳〉
B銀行との金利スワップにおいて、固定金利と変動金利の差額を処理します。
変動金利による受取額:10,000 × (3.5% + 0.3%) × 6か月 ÷ 12か月 = 190
固定金利による支払額:10,000 × 3.5% × 6か月 ÷ 12か月 = 175
以上から、差額は15千円(= 190 – 175)となります。
先物取引
先物取引は、別の記事で解説します。
【先物取引って何?】聞いたことはあるけど、馴染みのない会計処理をわかりやすく解説します! – かず吉ブログ
オプション取引
オプション取引は、別の記事で解説します。
【オプション取引って何?】聞いたことはあるけど、馴染みのない会計処理をわかりやすく解説します! – かず吉ブログ
まとめ
今回は、スワップ取引のうち、金利スワップの会計処理について説明しました。
金利スワップ取引は、頻出の論点ではないと思いますが、たまに見かけることがあると思います。
その際に有用となるようにまとめさせていただきました。
金利スワップ取引は、変動金利で借入したものを固定金利にするために利用されるケースが多いです。
ブログをご覧いただきありがとうございました。
スワップ取引以外の会計処理のブログも上げていますので、そちらもご覧いただけると嬉しいです。
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